女性の病気について

ドメスティック・バイオレンス(DV)、性暴力被害

ドメスティック・バイオレンス(DV)は、配偶者や交際相手など親しい間柄にある、またはあった男女間の暴力のことをいいます。DVには、殴るなどの身体的暴力だけでなく、脅す、ばかにする、怒鳴る、行動を監視・制限する、生活費を渡さないなどの精神的暴力や、性行為を強要する、避妊に協力しないなどの性的暴力も含まれます。

DV被害は女性にも男性にも起こりますが、2011年の調査では、女性の32.9%がなんらかのDVを受けたことがあるとされ、より重篤な被害を受けているのは女性が圧倒的に多いことが知られています。DV被害者にみられるこころの問題としては、うつ病と心的外傷後ストレス障害(PTSD)が最も多いですが、それ以外にも自殺行動、不安障害、アルコールや薬物乱用がしばしばみられるといわれています。また、過度の自責感と判断力・決断力の低下も認めることが多いです。

被害者を守るために、現在ではDV防止法が制定されています。「DVを受けているかもしれない」と感じたら、各都道府県に設置されている配偶者暴力相談支援センターや警察に相談しましょう。また、強い気持ちの落ち込みやフラッシュバック、消えてしまいたくなるようなことがあったら、精神科を受診しましょう。

性暴力には、強姦や強制わいせつだけでなく、パートナーからの性的暴力、子供への性的虐待、セクシュアル・ハラスメントなど、さまざまな形態がありますが、望まない性的な行為は、すべて性的な暴力にあたります。

心の傷はとても大きく、強姦の被害者の約半数にPTSDがみられ、他にもうつ病、不安障害、アルコール乱用、自殺行動も多くみられるといわれています。また、子供時代や青年期に性暴力や性的虐待を受けた被害者では、さらに複雑な心の症状を呈することが多いともいわれます。

2017年度より全国で性暴力に対するワンストップ支援センターが立ち上がり、現在では全都道府県に少なくとも1か所のセンターが開設されています。性暴力かな?と思うことがあったら、まずは地域のワンストップ支援センターに相談してみましょう。

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文献

  • 氏家由里, 加茂登志子: DV被害の実態と精神科治療. 日本女性心身医学会編. 最新女性心身医学. 東京: ぱーそん書房; 314-322, 2015
  • 氏家由里, 加茂登志子: 性暴力被害. 日本女性心身医学会編. 最新女性心身医学. 東京: ぱーそん書房; 314-322, 2015