理事長挨拶

日本女性心身医学会 理事長 髙松 潔


 日本女性心身医学会 初代理事長 玉田 太郎 先生、第二代理事長 本庄 英雄 先生の後を継いで、2021年より理事長を拝命しております髙松 潔です。

 心と身体には関連があることはよくご存じだと思います。これを心身相関と言いますが、この考え方に基づき、患者さんを身体面からだけでなく、心理面や社会面も含めて全人的なケアから、QOLの向上を目指すことが心身医学の考え方です。特に女性においては、ホルモン変動があることや女性を取り巻く環境へのストレスが大きいことなど種々の要因から、いわゆる心身症が多いことが知られています。例えば、月経に関連した無月経、月経困難症、月経前症候群(PMS)、さらにやせや肥満、更年期障害などすべてのライフステージにわたって対応すべき病態・疾患が存在しますし、症例数も増えています。つまり、心身医学は女性への対応に欠かすことのできない知識です。

 今でこそメンタルヘルスの重要性は理解されていますが、その前からこの分野に注目してきた先達の先生方が1972年に立ち上げた研究会である日本産婦人科心身症研究会が本学会の嚆矢であり、その後、1985年から日本女性心身医学研究会へ、1997年からは日本女性心身医学会となりました。歴史としては今年で50年になる伝統ある学会です。年に一度の学術集会、二度の研修会、学会雑誌「女性心身医学」の年3回発行などの活動を通して、女性心身医学の認知と普及、発展に取り組んでいます。また、国際的にもISPOG(国際女性心身医学会)のメンバーとして、諸外国の女性心身医学会とも連携を取っています。アジアの中では日本と韓国が中心的な役割を担っており、2007年には京都にて「Psychosomatic in East & West」をテーマに第15回国際女性心身医学会(ISPOG2007)を開催し、世界に向けて日本の女性心身医学をアピールしました。

 本学会の特徴の一つは多職種の皆さんが集っているという点にあると思います。医師のみならず、看護師や保健師、助産師はもとより薬剤師、心理学や小・中・高校の先生など様々なバックグラウンドをもった方々が自由に意見を交換できる雰囲気があります。また、医師会員も産婦人科はもちろんのこと、心療内科や精神科の先生にも多く入会いただいており、診療科を超えたディスカッションがなされています。学問には真摯、でもそれ以外はゆるいと言うと怒られそうですが、和気藹々とした中で日本の女性心身医学を高めたいという気概に溢れていると自負しております。

 本学会では認定制度も運用しており、医師以外の方々にも一定のポイントを取得した方には資格認定をしております。さらに本分野の発展のために、研究助成金制度も検討しておりますし、女性心身医学の教育の場を提供することにも力を注いでいきたいと思います。

 女性心身医学に興味のある方、興味を持たれた方のご参加をお待ちいたしております。