女性の病気について

子宮体癌

子宮癌は、子宮頸部に発生する子宮頸癌と子宮体部に発生する子宮体癌に分類されますが、両者は好発年齢、発生に関連する要因、症状、診断・治療法などが異なります。
このページでは、子宮体癌について解説します。

好発年齢と発生に関連する要因1)

子宮体癌は子宮頸癌に比べると高齢で発生することが多く、好発年齢は50-60歳台がピークとされています。
子宮体癌は、エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが関連する場合とエストロゲンとは関係ない原因で発生する場合があります。危険因子としては、出産の経験がないこと、卵胞ホルモン製剤単独のホルモン療法、閉経が遅いこと、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などが知られています。

症状1)

子宮体癌で最も多い自覚症状は不正性器出血です。閉経後に性器出血がある場合や、月経ではない時期の性器出血などは特に注意が必要です。また、自覚症状がなく検診などで偶然指摘されることもあります。

診断1)

子宮体癌の疑いがある場合は、子宮内膜の細胞診や組織診、内診、子宮鏡検査などを行いします。腫瘍の位置や広がりを調べるためには、経腟超音波検査やMRI検査、CT検査などの画像検査を行います。

治療1), 2)

治療の方法は、癌の進行の程度や体の状態などから検討します。
子宮体癌の治療では手術が基本となります。手術後の再発リスクが高いと考えられる場合は、術後補助療法として化学療法を行うことが一般的であり、状況によっては放射線療法も検討されることがあります。病状や合併症などにより手術が難しい場合は、化学療法や放射線療法が検討されます。
治療方法については個々の患者さんの条件によって異なる場合があり、担当医とよく相談するようにしましょう。

癌と気持ちのつらさ3)

癌の疑いの指摘を受けた方や癌と診断された方は、非常に強い心理的な苦痛を経験されます。大半の方が気分の落ち込みや不安、不眠などの症状を経験し、一部の方は生活に支障が出るほどの心理面の症状が長期に続くことがあります。心理面の症状に対しても一人で抱えず早期に医療スタッフに相談することが大切です。精神科、心療内科、精神腫瘍科、緩和ケアチームなどがある医療機関では、これらの部門でも心理面の専門的な相談が可能です。

早期発見と早期治療

子宮体癌は、早期発見・早期治療ができれば治癒が期待できる可能性があり、早期発見・早期治療が重要となります。不正性器出血などの気になる症状がある場合には、早めに産婦人科で相談しましょう。子宮体癌については現在国の指針として定められている検診はありませんが、一部の自治体では、条件に該当する方に子宮体部の細胞診による検診を行っているところもあります。

引用文献

  • 1) がんの冊子 各種がんシリーズ 子宮体がん. 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター編集. 東京:図書印刷株式会社, https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/143.pdf
  • 2) 日本婦人科腫瘍学会編集. 子宮体がん治療ガイドライン2018年版. 東京:金原出版, 2018
  • 3) 小川真里子、髙松 潔:婦人科腫瘍とメンタルケア. 日本女性心身医学会編. 最新女性心身医学. 東京:ぱーそん書房;291-302、2015