女性の病気について

女性とめまい

めまい(眩暈)は目が回ること・目がくらむことと説明され、現代のストレス社会においては不定愁訴の一つとして中高年女性のみならず若年女性にも増加傾向にあります。

めまいには大きく分けて、周囲や天井がぐるぐる回る回転性めまいと、体がふらつく、真っ直ぐ歩けないなどの浮動性めまいがあります。回転性めまいは内耳からくることが多く、難聴、耳閉感、耳鳴などの聴覚症状を伴うことがあります。一方、浮動性めまいは立ちくらみ、頭痛、しびれを伴うことがあり、体や頭を動かしたときに増強することがあります。

めまいの原因は多岐にわたりますが,末梢前庭障害(50%程度)によるものが最も多く,中枢性のめまいは10%程度であり、原因がはっきりしないケースも少なくありません。高齢者の浮動性めまいでは高血圧、高脂血症、糖尿病、心疾患などの併発症がしばしば見られ、脳血管障害による中枢性めまいも増加するためその鑑別が重要となります。

強いめまいが急に起こったら横になるか、楽な姿勢でしばらく安静を保ちます。それでもめまいが改善されない場合や、手足がしびれる、舌がもつれる、物が二重に見える、意識がもうろうとする、激しい頭痛がする、耳鳴りで聞こえにくいなどの症状を伴う場合は速やかに専門医(耳鼻科、神経内科、脳神経外科等)を受診する必要があります。

婦人科外来を受診するめまい患者は子宮筋腫、内膜症による月経過多、婦人科腫瘍の不正出血等による強度の貧血によるものが多く、造血剤等による貧血の改善と原疾患の治療を行います。また近年は更年期障害や月経前症候群、月経困難症に随伴するもの、うつ状態や自律神経失調状態にめまいを伴い受診する方も増えています。更年期障害にはめまい以外にのぼせ・発汗、頭痛、動悸、耳鳴り、気分の落ち込み、不安、不眠などが、月経前症候群には月経前数日に頭重感、頭痛、いらつき、不安、憂うつなどが、月経困難症では月経痛以外に頭痛、腰痛、歐気、下痢などの不定愁訴が伴うことが一般的です。

心理社会的因子が原因と考える場合には個人カウンセリング、集団療法、リラクゼーションなどの心理療法が有効な場合が多く、漢方療法、アロマテラピーなどの補助療法も有効です。のぼせ・発汗などの血管運動神経症状を伴う更年期障害には、ホルモン療法によりめまい耳鳴りの症状も緩和される場合がありますが、血栓症、子宮体癌・乳癌などの合併に注意が必要で長期連用は避けるべきです。うつ症状が強い場合SSRI、SNRIなどのセロトニン作動性抗うつ薬が、月経前症候群にはSSRIが有効とされます。

器質的原因によらないめまいは日常の過度のストレスが原因になっている場合が多く、職場や家庭での理解と環境改善が重要であり、生活リズムの安定や休養、睡眠の確保に努め、趣味やスポーツなどによりストレスを改善することが大切です。